彷徨とは精神の自由を表す。
だが、そんなものが可能かどうかはわからない。
ただの散歩であってもかまわない。
目的のない散歩。
癇癪館は遊静舘に改名する。
癇癪は無駄である。
やめた。静かに遊ぶ。
そういった男である。

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■七月一日

No.381

雨。湿気のため原稿進まず。

夕刻になるとこの世の終わりのような眠気がやってくる。
■七月某日

No.382

オーストラリアからやってきたラッセルの友人の照明家ニックと『千草』で生ビールを飲む。穴子の卵とじ、生蛸の薄造り、手羽先の唐揚、まぐろユッケ,豆腐ステーキなど私の好きなものばかり頼む。しかたねえよ、日本初めてのニックがメニューわかるわけないんだからよ。冷酒飲んでぐったり疲れる。
■七月某日

No.383

晴れ。

『ブレイド2』を見る。映画の日で入場料一律1000円なので『スパイダーマン』をはしごしようと思ったが、一本でくたびれる。

ビデオでソダバーグの『アウト・オブ・サイト』を見る。この監督はもういい。小粒。

生ビールを飲む季節になったせいか、こころなしか腹が出てきた気がする。

夜、何ら根拠もないのだが、自らの不運と不幸をしみじみと嘆く。
■七月某日

No.384

世田谷で『屏風』見る。四時間たっぷり見たーって感じ。およそ四ヶ月のフランス滞在であった結城座の面々と楽屋で会う。孫三郎さんの顔を見て開口一番「下痢だいじょぶですか?」と失礼なことを聞いてしまうと「ふらふらのもうフランス人ですから、日本語で話しかけてもだめです」と意味不明のことをいう。
■七月某日

No.385

『スペクタクルの社会』を読む。

銭湯でびしびし汗をかく。

田中康夫、知事不信任案可決。まあ、まったくの敗北ではないが、ヤスオちゃんもやり方が下手なんだよ。
■七月某日

No.386

『屏風』のアフタートーク出席のため世田谷へ。

四時間見て、聞く人なんざいるのかねと客席を覗くとけっこうお客さん残っている。

いろいろしゃべる。その後ロビーでパーティー。わいわいしゃべって帰る。

遊静館でジャズを聴きつつスコッチを飲む。
■七月七日

No.387

『年上の女』を見る。シモーヌ・シニョレはいいが、ローレンス・ハーベイを演じる男がやたらと反省、後悔し感傷的なのが圧倒的に気に入らない。ほとんど不快だ。そういうわけで『笑点』で口直し。サザエさんも見るが、みのもんたが司会やってる27時間スペシャルの絡みで普段のサザエさんよりつまらない。

イナダと鯛の刺身食べてぼぉうとしているとジョン・フランケンハイマー監督死去の報がテレビより流される。ああーっと思わず声をあげ、合掌。フライシャーとともに独特の文体を持った良質のアクション監督である。『影なき狙撃者』、『終身犯』、『セコンド』、『フィクサー』等々。しかもいつの時代にも生き延びた。『フレンチコネクション2』はもしかするとフリードキンの一作目より上かも知れず、最近では『RONIN』でバカ派手とは無縁の大人のアクション映画を作った。『ハンニバル』はフランケンハイマーが演出するべきだった。もうリドリー・スコットなんて最近とみに最低だよ。

黒澤明は自分の資質をアクション映画の監督だと心得、フロンケンハイマーのような生き方をすれば後年無残なものを撮らずにすんだものをとつくづく悔しい。

映画の文章を正しく書ける誰かにフランケンハイマー論及び追悼文を書いてもらいたい。

それにしてもショーン・ペンが監督した『プレッジ』が見たい。今やアメリカ映画はサム・ライミでもコーエンなんたらでも、デイビット・フィンシャーでもソダバーグでもなく、ショーン・ペンだと勝手に吼え続けよう。

27時間テレビの終わり、みのもんたがわあわあ泣いている。
■七月某日

No.388

30度を超える猛暑のなか、原稿を書き、本探しに早稲田の古本屋を巡り、暑さに徹底的に痛め付けられる。探している本は見つからない。いや探し方が悪いのだろう、ほとんど途中より目眩のなかでふらふらと歩く。日射病にかかったような症状。

遊静館に戻り、夜テレビ番組の『私立探偵 濱マイク』を見るが、あきれかえる。永瀬の演技といい演出といい明らかに『傷だらけの天使』の悪影響。自分たちばかりで満足している小劇場のプロデュース公演のよう。アングラである。

かつてのショーケンとか松田優作の演技はすでに無効である。永瀬はこんなことをしていてはいけない。それにしてもかつて私も中学生の折り、『傷天』を熱狂した見た部類だが、数年前ビデオで見直したところえらくつまらないのでびっくりした覚えがある。大体台詞がよく聞き取れない。聞き取れないことをリアルと錯誤しての失敗は勝新太郎の『警視K』で立証され済みのはずなのに。

JR東海の長距離バス運転手、酔っ払い運転で御用。このバスは新宿、名古屋間劇団でも使うので他人事と思えない。走行前と走行中缶チューハイを飲んだという運転手のコメントが泣かせる。

「山道で酔いがまわった」

扇千景のコメントがまた脱力させてくれる。

「勤務が終わってから飲めばよかったのにね」

夜、額に氷片を乗せて寝る。
■七月某日

No.389

引き続きJR東海の酔っ払い運転手のことだが、結城座の人の話によると『屏風』の本番前フランス人俳優からしばしばコニャックをやらないかと勧められ、もともと飲めないこともあって大慌てで断ったということだ。

私は一度酔っ払って舞台に出たことがある。26歳のとき、スズナリの『ラストフランケンシュタイン』だ。マチネに観劇に現れた唐十郎氏と終演後,ミン亭に向かい、唐氏に勧められるまま、紹興酒をがぶがぶと飲んだ。楽屋に帰ると、なんて元気なのだとみんなから不思議がられた。酔いの覚めないまま舞台を最後まで終えたが、別に支障はなく、共演者から絶好調だという感想をもらった。まあ、もともと酔っ払ってでも出来る演技の仕方だったわけだ。今だったらとてもじゃないが出来ない。

でもコニャックひっかけて芝居してみたいものだ。なんだかみんなで緊張してぶるぶるやる芝居なんざしたくないね。それと許せないのが、カーテンコールのとき 舞台で泣いている女ね。

大阪府が道頓堀ダイブ禁止のために鰐の放流を決定というデイブ・スペクターのジョークがなぜか頭から離れない。

フィリップ・トルシェが合宿中、選手の部屋に突如入ってくるゆえのホモ説を巡って「ぼくとカズさんがダブルベッドで一緒にDVDを見ていたら急にトルシェがドアを開けてにやりと笑って出て行った」というゴン中山のコメントがなぜか頭から離れない。

だらだらと汗をかき、だらだらと過ごしているが、食欲は増している。なぜか夏になればなるほど脂っこいものが欲しくなる。食べることが楽しくて仕方ない。夕刻鰻が無性に食べたくなって唾があふれ出る。卑しい。
■七月某日

No.390

台風のなかユーロでゴダール『フォーエバー・モーツアルト』を見る。
■七月某日

No.391

京都へ。大学で会議。春秋座で学生発表の演出をしている宮沢さんと会う。その後、学生と『スノー』仕込中のジョン・ジェスランと会う。ジョン、『アーカイヴス』に行けなかったことをひたすら謝り、誰も自分を誘ってくれなかったと憤慨している。学生との作業は簡単ではないようで、泣きそうだという。

公演は来週また来京して見ることにする。

近所の飲み屋で八角氏らと飲む。
■七月某日

No.392

ジョンの東京でのリーディングの可能性等についてあれこれ大学で打ち合わせ。

東京に戻る新幹線のなかで本二冊読了。
■七月某日

No.393

読書欲が異常なまでに高まり、図書館で岡本太郎の本など数冊を借り、夜更けまで読む。
■七月某日

No.394

昨日借りたばかりの本を返しに図書館に赴き、今度は能の本などを借りる。

中華店で餃子とマーボー豆腐に生ビール二杯。

夜、尿道結石の番組を見る。

生ソーセージとデンマークチーズを前菜にして赤ワインを飲み、メインでは好物のラム肉にパスタ。食後にウイスキーと葉巻。

満足の夕食を終えて、惰眠を貪る。

劇の稽古をしている夢を見る。劇団員にへたくそといっている夢である。
■七月某日

No.395

『藪の中』を見る。相変わらず宮島の演技は食えない。台詞に緩急がなく、一本調子。宮島は70歳ぐらいまで生きて続けて初めて人気が出るだろう。もうこの下手さにはため息が出てしまう。でももっと下手な人がいるのだから驚きだ。
■七月某日

No.396

台本にかかる。

『東風』、『ロゴパク』、『ソドムの市』を借りる。

河出のムックのゴダール特集を結局買う。ずっと立ち読みで済ませようと思っていたが、やはり資料として必要を感じたので。それにしてもゴダールに人気があるなんてどこか間違っている。それだけ映画がもはやハリウッドコードに犯されていて、人民に無意識の欲求不満をもたらしているということか。68年風の物言いになってしまった。それにしても68年の再考は演劇においても必要だ。

タイム誌にフランケンハイマーの訃報が載っていて、アルコールによるトラブルで一時期映画界から干されていた旨が書かれていた。なるほど順風ではなかったわけだ。ここいらあたりのことを詳しい人がいるのなら、書いてくれないだろうか。

『陰陽師』見る。

『東風』見る。

能の本読む。
■七月某日

No.397

『ロゴパク』見る。
■七月某日

No.398

京都へ。新幹線の車中でゴダール特集を読んでうんざりする。

ジェスランの『スノー』をスタジオ21で見る。

上演後、ジェスランと打ち合わせ。急遽、『フィロクテテス』のリーディングを来週やることに決定する。そのための準備でいろいろばたばたと東京へ連絡。この作品はメキシコで上演され、ニューヨークではラママ、パフォーミングガレージなどでリーディングされ好評だったものだ。(詳しい情報はHP、情報欄で)
■七月某日

No.399

近畿地方、梅雨明け。晴天、34度という京の町を散策。

晴明神社の何もなさに涙が出る。

六道の辻で幽霊子育て飴を売っている店を覗くが誰も出て来ない。暖簾の向こうでじいさんばあさんが、ぐったり居眠りしているのが見える。

珍皇寺。西福寺。六波羅密寺の空也上人像、運慶、湛慶像、菩薩坐像、平清盛像に深い感銘を覚える。

すさまじい暑さ。だらだらと汗が流れる。

清水寺。目眩がし、食堂で生ビールのジョッキを倒して半分ほどこぼし深く悲しむ。

夜、鴨川沿いのビアガーデンで北京料理。蒸し餃子、海鮮のレタス巻きなど。土用の丑の日だが、鰻やはどこももう売り切れだったので。でも北京料理よし。

河原の大胆なカップルの所業が気になって仕方ない。
■七月某日

No.400

猛暑。晴天。

東寺へ。境内を歩くとすぐに目眩に襲われる。それでも薬師像の前で落し物の財布をなんとふたつも気づき、拾っておばちゃんたちの一群を追う。ひとりのおばちゃんなんか、自分の財布だと最初気がつかない。みんな暑さでぼーっとしてしまっているのだ。おばちゃんたちに感謝される。いい功徳になった。ところがおみくじを引くと凶。でも全然気にならない。凶なんて今まで十何回となく引いている。ほんと、これ。

夕刻、新京極は『かねよ』で鰻の白焼で福岡の地酒を飲み、きんし丼を食べて深く満足する。

東京に帰る。二日間スポーツを終えて帰ってきたような発汗の後の気分。

No.401〜420 バックナンバー

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