彷徨とは精神の自由を表す。
だが、そんなものが可能かどうかはわからない。
ただの散歩であってもかまわない。
目的のない散歩。
癇癪館は遊静舘に改名する。
癇癪は無駄である。
やめた。静かに遊ぶ。
そういった男である。

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■四月某日

No.301

 ピーターと六本木で打ち合わせ。その後ラッセルと京都行き。新幹線混み合っており、東京駅で二時間待ちながら飲み食い。ほろ酔いになり、新幹線でさらに水割りを飲んでいい調子になる。着いたのは11時過ぎ。
■四月某日

No.302

 京都造形大で新入生のガイダンスに出席。その後なんちゃらかんちゃら。ジェスランと会う。ホテルのイタリアンがあたったといいすこぶる調子悪そう。夜、東京に戻り。
■四月某日

No.303

 執筆。「アーカイヴス」、ほぼめどがつく。
ラストが3パターン考えられどれにしようかと迷う。ラングの「メトロポリタン」を見る。
■四月某日

No.304

 ラストを決める。脱稿である。
飲みに出る。
■四月某日

No.305

 「風花」へ。なんだかんだと話しているうちに明け方まで。主な話題は島田雅彦氏の新作「美しい魂」の刊行延期について。島田は「新潮」にそのことについて書いているが、このことは全体に関してすっきりせず、面白さを喚起させない。島田自身が腰抜けと自分のことを言ってしまっているので、尚更何も言えない。とにかくほとんど誰も読んではおらず、何も起こっていないのだから、考えようがない。それにしても、それにしてもだ、出版界も小説の世界もまったくつまらない。こうなると演劇のほうがはるかに面白い。演劇界が活性化しているということではないが、最近は小説の世界よりは少しはましだと思い始めた。
とりあえず「彗星の住人」を読むことにする。刊行時、買っていたのだが途中でやめていたのである。ここ数年、島田は新作を送ってくれないのである。別に買いたいのは買うからいいけど。小説と演劇、出版界と演劇界を比較する上で、坂手の「天皇と接吻」を召喚するという発想は果たしてありか?つまらないな。
「パゾリーニ・スキャンダル」を見る。くだらないが、この監督ならではの、ねっとりとした作りは好きだ。ついでに「ソイレント・グリーン」も見てしまう。ここらあたり、70年代のフライシャーは私が中学生、ちょうど人生で一番映画館に通っていた時期にあたり、フライシャーのテイストは身近で他人事と思えない。
■四月某日

No.306

 森下でスタッフ会議。
■四月某日

No.307

 劇作家協会の理事会。
森下で「ロスト・バビロン」用の声の録音。
■四月某日

No.308

 京都造形大から発行される「舞台芸術」のシンポジウムのゲラチェック。原稿書き。
■四月某日

No.309

 原稿書き。ラングの「西部魂」を見る。
夕刻、森下で舞台装置の打ち合わせ。
■四月某日

No.310

 大阪へ。「アーカイヴス」の記者会見。
その後、名古屋で新聞社2社を回る。
往復の新幹線で「彗星の住人」を読む。面白いが、相変わらず青臭いと感じる所以は描写やストーリー展開の大抵最後に顔を出す筆者とほぼ等身大と思える、描写とは無縁の断定の物言いのせいと思われる。このために結局筆者の座談を聞かされているようで大いに鼻白む。
その部分などほとんどカットしたほうが読者は気分が良いと思うのだが、島田ファンにはそこがいいということなのか。
稽古前の嵐の静けさ。すでにほとんど劇作家から演出家モードに入っている。つまり、あまり大酒を飲みたくないモードであり、倫理的な生活態度である。
ギー・ドュボールについての本を読み、刺激を受ける。ゴダールとの関連性においてである。
新作「愛の世紀」をめぐる状況を見てもわかるように、昨今のゴダールへの妙なファッション化には疑問を覚えるからだ。なんだかゴダールを声高に語るのが恥ずかしくなってきた。
バカでも語れるゴダールってところか。
■四月某日

No.311

 「セリフの時代」編集会議。その後、神保町で本を漁る。ドュボール、バタイユ等など。テアトロ掲載用の「アーカイヴス」のゲラチェック。
ティオペペを飲む。同時に八月の第三エロチカの公演についても考えている。タイトルは「FREAKS/パゾリーニ/ショー」に決める。
■四月某日

No.312

 晴天で気持ちがいい。遊静館近くのバッティングセンターに赴き、帰宅してフライシャーの「スパイクス・ギャング」、「マンディンゴ」を見る。まさに70年代のアメリカ映画特有のアンハッピーエンディング。悲惨でも崇高でもない悲劇。これを単にB級と名づけてしまってはいけない。フライシャーの撮ったものはWTCのテロ後のアメリカが最も見たくない、そのくせアメリカ人が今一番心に染み入る映画群といった印象を持つ。「センチュリアン」という警官の悲劇もしかり。つまり、このような映画はもはやハリウッドでは不可能なのだ。
夜、ゴールデンに移った「マネーの虎」を覗く。深夜番組の開き直ったいかがわしさを保って続けられるかどうか疑問だ。夜中に少し酔ったときに見るからいいんだよ、この手のは。それにしても深夜番組はつまらなくなった。芸もスケベもない若手芸人のうんちゃらかんちゃらはまったくつまらない。ガキ向けはやめて。今や大人もやまほど起きているのだから。
■四月某日

No.313

 「アーカイブス」、森下スタジオで初顔合わせ。近くの「京金」でそばがきの味噌焼きと穴子天せいろを食べる。日本酒も飲み、気持ちよく酔う。
夜、新宿でダリオ・アルジエントの「スリープレス」を見る。面白い。さすがである。
「風花」に「アーカイヴス」のポスターを持っていく。店では怪人が酔っ払っていた。
■四月某日

No.314

 劇団員の「フリークス」見る。概ねつまらない。フライシャーの「ラスト・ラン」を見る。素晴らしい。ポルトガルが舞台とは恐れ入った。タネールの「白い町で」とどちらが美しいだろうか。ジョージ・C・スコットは立派だ。
■四月某日

No.315

 休みの日。二日前に取れてしまった歯の詰め物の治療のため歯医者に。
Tsutayaでパゾリーニの「マンマ・ローマ」を見つけ、慌てて借りる。
■四月某日

No.316

 稽古。帰り、飲む。
■四月某日

No.317

 稽古。
■四月某日

No.318

 稽古。
■四月某日

No.319

 稽古。
夜、ラングの「真人間」見る。シルビア・シドニーって決して美人の造りの顔じゃないんだけど、きれいだ。
■四月某日

No.320

 恵子、じゃなくて啓子じゃなくって慶子でもなくて、稽古だった。ああ、くだらねえ。稽古はすこぶる順調。俳優諸氏、さすがだ。世間はゴールデンウィーク突入。「KT」が見たい。何か久々の正統的でまっとうな映画の匂いを感じるのだが。

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