彷徨とは精神の自由を表す。

だが、そんなものが可能かどうかはわからない。

ただの散歩であってもかまわない。

目的のない散歩。

癇癪館は遊静舘に改名する。

癇癪は無駄である。

やめた。静かに遊ぶ。

そういった男である。

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■七月某日 No.1371
再びフクロウに取り掛かろうとするが、作家モードがやって来ない。

部屋のそうじなどして一日が終わる。

■七月某日 No.1372
午前11時半という奇妙な時間から舞台芸術の共同討議、新宿中村屋で。

記録主義について港千尋氏、佐藤真氏らと。時間帯のせいもあってスタート時では頭が働かず、それは私だけのことでもないらしいので、どうなることかとも思ったが、次第におもしろくなっていった。

15時終了。

夜、朝日カルチャーセンター。今回は『AOI』を取り上げる。

■七月某日

No.1373

渋谷で用事をこなして、銀座で『キスへのプレリュード』を見て楽屋に向かい江守さんに挨拶。

公的なことで揉め事あり。納得いかないこと多し。

■七月某日

No.1374

昼間、『赤いくつ』のダビングをしたり、なんやかんやと用事を整理する。

夕刻、毎年恒例駅前で開催される阿波踊りを見に行く。

帰途、野原でいつの間にか猛々しく成長している雑草群を見て、これは自分だとしみじみする。

飾られるのに相応しい鑑賞用の花ではなく、名花でもない。かといって月見草と言うわけでも隠花植物というわけでもなく、どたばたと騒々しい雑草として踏まれても刈られても、それで終わりとならずにやってきたのだ。

と自分を励ましている。昨今めんどうなことが多いからだ。

と思うと朗報が届いたりする。まことに人生というやつだ。

野原の雑草はいずれまた刈られてしまうのだろうが、来夏また育っているに違いない。

■七月某日 No.1375
「白石加代子さんの紫綬褒章受賞をお祝いする会」に向かう。

銀粉蝶さんとひさびさに会う。

今になんかやろうね。

■七月某日 No.1376
フェリーニの『道』を十数年ぶりに再見。やはりラストのザンパノの孤独には泣けるわ。
■七月某日 No.1377
ファスビンダーの戯曲をダニエル・シュミットが映画化した『天使の影』を見る。

人から借りていたビデオですっかりその存在自体を忘れていたものだ。

おもしろい。シュミットがファスビンダーの世界を押さえつつしっかり自分の世界に引き寄せている。シュミットの映画を猛烈に再見したくなる。

夜、さらに『映画史』を再見する。このゴダールはほんと夜中流しておくのにいい。

■七月某日 No.1378
台風で一歩も外に出ず、採点などをする。戯曲のクラスの提出作品を読むが、低調。結局戯曲に興味ねーんだな、このひとたち。
■七月某日

No.1379

いろいろ用事で都内をまわる。

暑さでばてるも、食欲は衰えず、ということはばててるとは言わないか。

夜、新井薬師の盆踊りに行く。

鰻を食べる。

■七月某日

No.1380

神保町で編集会議。

その後、本屋で『荷風!』という季刊誌を見つけ、おもしろそうなのでバックナンバーを含めて五冊買う。新宿、吉原・向島、浅草、銀座、横浜の特集で次回は上野だという。買わずにはいられない。

原稿書き。

夜、朝日カルチャーセンター。

本人ほとんど暑さにやられていると思うのだが、ほんっと食欲は旺盛だ。今日は土用丑の日。昨日に引き続いて鰻、白焼きを食べる。

■七月某日 No.1381
執筆。
■七月某日 No.1382
執筆。

フクロウの三稿目。やはり簡単にはいかない。困難に直面する。

■七月某日 No.1383
若者カップルの浴衣姿はいまいちだ。女子はコスプレに見えてしまう。男子は概ね胸板が薄く、腹部に脂肪もないのでどこか貧相で病院から抜け出てきた患者さんのようだ。別にうらやましいのではない。

やれ腹の脂肪を減らすの痩せるのとテレビの健康番組はうるさいが、中年で腹の筋肉が分かれているオヤジはきもいし、女性も年とればふくよかなほうが体に自然だと思うのだが。

夏男を気取っているが日中運動してからデ・パルマの『悪魔のシスター』を見始めたら、前半の惨殺シーンで一気に血が下がり、体温調節不能のような状態になり、目眩がして横になる。暑い時期に見舞われるこれはどうものぼせのようだ。

■八月一日 No.1384
暑いなか、普段通りの生活を送ろうというのは無謀という言葉に痛く共感し、歩くのにもふだんより倍遅くしている。ゆっくり歩く。

脳内疲労のなかで執筆。ですからこれもふだんよりペースが遅い。焦らずにゆっくりいくしかない。

■八月某日 No.1385
暑さのための脳内疲労のなか執筆。

武居俊樹の『赤塚不二夫のことを書いたのだ!!』を読み出すとおもしろくて止まらなくなる。

なかでは勝也さんも出てくる。

それにしても野坂氏、赤塚氏と酒でやられるひとというのは要するに内臓が強く、基礎体力があるのだな。

私なんぞ飲みすぎるとすぐ具合悪くなるから逆に救われていると言えるのかもしれない。

■八月某日 No.1386
執筆。

夕刻より俳優、演出家たちと打ち合わせを兼ねた飲み会。

話題は来日公演のベルリン演劇について及び「あれらのどこがすごいんだ」と糾弾されるので、いや私はすごいとは書いておりませんなどと言い、まあとにかくあんなもんだと皆さんわかったことだけでも良かったとは思うのだが。

■八月某日

No.1387

送られてきたDMに「貴下まずまずご清栄のこととお慶び申し上げます」とあって「まずまず」は「ますます」の間違いなのか、それともどこも好景気のところはあるまい、みんなまずまずだよなあ、暑いし、ということを言いたいのか、それにしてもほんとまずまずだよなあとか思ったりして考え込んでしまう。

夕刻、朝日カルチャーセンター。

終えて出ると住友ビルの前でビールフェアをやっていて生ビールを飲む。

■八月某日

No.1388

執筆。

暑いのでついついビールをやってしまうが、その後体温が上がって逆によくないことに気がつく。

日々、ほとんどばてている。

ばてつつ劇団健康を見に行く。

途中で目眩状態に襲われてやばいと思う。無論芝居のせいではなく、生をいっぱいやっていきなり冷房のなかというのが良くなかったらしい。しばらくすると治まる。やれやれ。

それにしてもケラ氏、松尾君とか官藤君とかとほんと仲いいんだな。君とかつけて別につきあいないんだけど。

■八月某日 No.1389
近所の温泉銭湯に行き、マッサージをしてもらうと疲れと首回り、肩甲骨とコリがひどいのがよくわかる。

夜、只野仁スペシャルを見る。快調だ。

ラストは二時間ドラマお決まりの断崖絶壁、下は海という場所での犯人の告白を設定し、

「こんなシナリオ、映画にもならねえ、二時間ドラマがせいぜいだ」

と只野が暴れるという余裕の展開である。

■八月某日 No.1390
郵政民営化の採決を見終えると、もうなにやら一日の全エネルギーを使い果たした気になるものの、がんばって執筆を始めると思いの外進む。

それにしてもタイのビールとウーロン茶と干からびたチーズって、まあ俺でも頭にくるだろうけど、わざわざ持って帰ってくることはないだろ。

夜、シャンパンを飲む。

■八月某日 No.1391
執筆。

夜、カンコンキンシアター19 『クドい!』 つけ乳首に御用心! を見る。

噂のクドい!初体験。四時間という長時間、聞きしに勝るおもしろさで、わたくし笑い通しでした。

ほんっとおもしろい、今さらながらで長年のファンの皆様には申し訳ないが、「このおもしろさを誰にも知らせたくないひと夏の秘密クラブ」というのはよくわかる。

関根勤の漫談のおもしろさといったらない。

痛烈だ。別に政治風刺をやっているわけではない。政治家をおちょくったところで、それがなんだってーのよ。

対象はテレビの有名人たち。そう、今権威はテレビであり、テレビに出て有名人の勲章をぶらさげているタレントどもなのだ! だから関根氏の漫談はテレビをよく見ていない人にはわからないだろうから、学者たちにこのおもしろさはわかるまい。ってテレビの好きな学者もいるだろうから今のは偏見。

やっぱり芸人さんたちの笑いには凄みがある。

終演は11時で、「もう電車間に合わないよん」という人もいる。

四時間、笑い続け、汗びっしょりで楽屋に行き、ルー氏、ラッキー氏としばしわいわい。

小屋出たのはもう12時近く。

いろいろ悪いけど、これで今月の観劇エネルギーを使い果たした模様。

山ちゃんで幻の手羽先を食べる。

なんっか最近居酒屋の味付けが濃く感じて仕方ないのは、京都の味に馴染んでしまったせいだろうか。

■八月某日 No.1392
第三稿、ほぼ脱稿。って脱肛じゃないのよって昨日の『クドい!』の影響か。

昨夜の舞台の余韻がまだ残っている。

■八月某日

No.1393

また近所の温泉に行く。

種明かしすると小平の『テルメ小川』というところで小平に天然の温泉が出たわけよ。

露天風呂でチンコぶらぶらさせつつぐだぐだしてるわけよ。

生ビールもうまいよ。

夜、眠れなくなる。

■八月某日

No.1394

まあ、当日乗ではなぜか読書日記をあまりやっていないのだが、ってそれはそれで少し理由があって、実はこれもあまり書きたくはないのだけれど、ジム・トンプソンにはまっていて一気に一日二冊のペースで読んでしまっている。

すさまじいおもしろさだ。

フランス語の勉強とかする。もうぺっらぺら、のわけねーだろがっ。

■八月某日 No.1395
脱稿と思ったところが、読み出すと直し始める。

アンガールズの山根はJOUに似ている。JOUに似ている山根というのがわかりにくいが。ってこれは『ハムレットクローン』の内輪しかわかんないことだろうけど。

■八月某日 No.1396
また直し始めてしまう。

近所のビデオレンタル店が閉店していることに気がつく。不便だ。

なんか最近どこか不幸せ感が強い。

■八月某日 No.1397
違う原稿にとりかかるも、あまり進まず。
■八月某日 No.1398
旅の準備。

体のコリひどく、夜サウナに行く。サウナのなかでサッカー、日本・イラン戦をやっていて、しまった忘れていたと思い、見るためになかにいる時間が長くなり、びっしびし汗をかく。

■八月某日

No.1399

正午、三茶で打ち合わせ。

夜、朝日カルチャーセンター。

『スパ!』の「バカサイ」の「実写版あしたのジョーを勝手に配役」に笑う。

矢吹丈・ユースケ・サンタマリア、力石徹・加藤鷹、丹下段平・日景忠男、マンモス西・マラドーナ、ホセ・メンドーサ・谷村新司、ウルフ金串・杉本哲太、カーロス・リベラ(パンチドランカー前)・羽賀研二、(パンチドランカー後)輪島功一などなど。

すばらしい、よく考えたものだ、丈にユースケ・サンタマリアというのが妙に納得させられる。

衆院選、演劇人で出馬するやつ、どっかの党から打診されてるやついねえのか。

えらそーにしたいんなら政治家になるのが一番手っ取り早いと思うし、社会、政治に文句あるんなら芝居やってるよりほんとの政治やるほうが早いだろが。って逆になんもできなくなるかな。

とにかく私はすでにふたつの党から打診されて断った。って嘘に決まってるだろが。

ブログでほんとのこと書いてる作家っておばかだと思う。

そういうわけで、みなさん、わたくしフランスいってきます。

『AOI』のリーディングの演出です。

しばらく当日乗は例によってお休みで帰ってきたら、特別篇やります。

では、みなさん、暑さに負けずに、ごきげんよう!

■九月某日 No.1400
そういうわけで帰国しました。

キューバとかニューオーリンズに行ってみたいなどと機内で話していたところなので、カトリーナによるニューオーリンズの被害にびっくり。ここまでとは思わなかった。

ポンタムッソンに十泊、パリに六泊。

ぽんたけ・イン・ポンタムッソンは次回にまわすとしてパリは完全にバカンスでべたな観光をだらだら書くのもなんだからずらずらとだらだら書くので、これからパリに行かれる方への参考になれば幸いだ。

ポンタムッソンではほとんど秋の涼しさだったのがパリに来たとたん、夏が復活し、昨年同様暑い日々だった。

パリ着。オーギュスト・ブランキ通り。イタリア広場。ホテルのコインランドリーと格闘。マレのピカソ美術館。シャトレ。シトロン・プレッセ。マンタ・ロー。シテ島。コンセルジュリー。セント・チャペル。ノートルダム寺院。サン・ルイ島。ポリドール。フォアグラ。タルタルステーキ。赤ワイン。カルバドス。カルティエ財団博物館。川口倫子。モンパルナス墓地。ベケット。イヨネスコ。ハイム・スーチン。サルトル。ボーヴォワール。ボードレール。デュラス。ラ・ロトンド。サンジェルマン・デ・プレ。ル。シャンポで小津の『父ありき』。クイックでハンバーガー。ポンピドー・センター。いきなりのフランシス・ベーコンに深く心を動かされる。ルオー。スーチン。マグリット。ハンス・ベルメール。バルテュスのアリス。ベルギービール、グリンバーゲン、レフ。シャンパン。マルシェでCD三枚。ブローニュの森。マルモッタン美術館、モネの『睡蓮の間』。その獰猛な筆致。モネという野蛮な生物。図版では感じられない動物性。描くという行為の運動の軌跡。チェルリー庭園。クロック・ムッシュー。パナシェ。オランジュリー美術館は未だ改装中。シャンゼリゼ。ミッシェル・ポルナレフのCD三枚組み。凱旋門。ブルゴーニュ・ワイン。ポルナレフをおよそ三十年ぶりに聞く。ベルサイユ。第一日曜日、入場無料のルーブル。人ばかり。同じく無料のオルセー。ここも人ばかりでセザンヌの部屋も雰囲気なし。出たところの階段でぐったりしていると「こんにちは」という声、顔を上げると、どこかで見た人だと思い、なんと元近鉄劇場の松原氏であった。日本にいても何年かに会うか会わないかなのに。氏はエジンバラ、ロンドンと滞在してパリに来たという。イッツ・ア・スモール・ワールド! こういうことがあるから外国といっても油断ができない。いつ辻仁成が現れても不思議ではなかろうと怯える。出たら隠れよう。デュ・マゴ。またポリドールでエスカルゴ、鴨肉。コニャック。モンマルトル。サクレ・クール。思い出のメリーゴーランド。テルトル広場。ダリ博物館は熱海秘法館の雰囲気。ラパン・アジル。葡萄畑。アベス広場。

帰国してとうに締め切りの過ぎている原稿に取り掛かる。

ではリーディングの模様は次回で!

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