彷徨とは精神の自由を表す。

だが、そんなものが可能かどうかはわからない。

ただの散歩であってもかまわない。

目的のない散歩。

癇癪館は遊静舘に改名する。

癇癪は無駄である。

やめた。静かに遊ぶ。

そういった男である。

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■四月某日 No.1281
執筆。

夕方、ラーメンを食べるとおそろしい睡魔に襲われる。

ぼんやりとしたまま両国のシアターXへ。

うずめ劇場の『ねずみ狩り』。

いろいろな批評家がいる。気がつけば今日は初日なのだ。

この人々の前でアフタートークをやらなければならないのか、いやだなあ、しらけるなあとちいとうんざりしたが、劇が終わってみんな帰った。

舞台は好感持てる出来だが、ハントケの『観客罵倒』の構造で、舞台からねずみと名づけられて銃口を向けられても、なんだかこちらは困ってしまう。この趣向は70年代のものだが、今だとやはり古臭い。罵倒されたってにやにやしているしかない。今やにやにやしている観客のほうがうわてに決まっている。客席への挑発など今や無効だし、それでかまわないと思う。

資本主義へのダイレクトな否定のメッセージだが、みんなでモノを捨てようとかいわれてほんとに捨ててみんなホームレスやNEETになっても困るだろうが。

過激なメッセージとは社会の経済に余裕があり、人々にある程度の幸せ感がなければ成立しない。

演出のゲスナー氏とそこらあたりのことを話し、けっこう対立する。

中国の反日運動についても語る。

私はこの人が好きだ。『ハムレットクローン』のドイツツアーでいったハレのターリア劇場の出身だ。

新宿で台湾料理を食べる。

■四月某日 No.1282
『Hey!Say!ルー』を見る。

大いに笑う。ルー大柴氏が18歳というおそるべき設定だ。

若手芸人達もみなおもしろい。堀尾和樹などは『いいとも』に出てても冴えないだけだったが、舞台だと実におもしろい。

やっぱ笑いは板の上のを見るのがいっとうおもしろい。

最後はカンコンキンシアターから生まれたルー氏伝説の海パン芸。シルクでビキニの海パン一丁で客席通路を走り回るのだ。目が合うとやりにくいだろうからと懸命に合わないような方向を見つつ笑った。

ルー大柴51歳、短足胴長で下腹もポコリと出て、「小学生の下半身にオランダ人の上半身が乗っている」と関根勤に言わしめた裸体を晒し、わめき続けるその姿はまさしく感動であり、おかしくもあり、笑いと感動両の涙があふれる。

それにしてもこの芸はすでに名人の域に達している。

ティーファクトリーの公演の最後に意味もなく必ず私が海パン芸をパクってやるというのはどうだろう。

「オレがうわさのカワタケだ!」っての。

恵比寿をしばし散策し、急にいろいろ考えが浮かんだので帰って執筆。

■四月某日

No.1283

『おもいっきりテレビ』でみのがスタッフの段取りの悪さに怒鳴り散らしていて見苦しい。

朝の番組を始めてこれの打ち合わせ時間が減っていると聞くが、結局そのせいなのではなかろうか。

やっぱり無理があるに決まっている。しっかし人間歳を取れば取るほど、仕事に対して強欲になってくな。テレビのみの、舞台の蜷川。

筑紫哲也なんぞの、のっぺりとしたなにもかんがえていない面なども見たくもない。

みのもんたには早朝の番組などより、かつての11PMのような番組をやっていただきたい。

私も司会のメンバーに加われば、おもしれえ大人のお色気番組ができるぞ。

■四月某日 No.1284
新派を初めて見る。北千住で『あじさい』

見終えた後、『せんべろ探偵が行く』にもある大衆酒場大はしにいく。新装したらしくきれいだ。ここにしかないような焼酎のボトルをキープして飲むというスタイルがおもしろい。

その後、『せんべろ探偵』のまったくの真似をして駅前の天七へ。関西風立ち飲み串かつ屋で堪能した。こういうのが生活の近くにあってほしい。立ち飲みというのは気分がしゃきっとしたまま飲めて、立っていると疲れるので意味もなくだらだらといることがなくていい。

レバ、えび、ししとう、にんにくなどを食べ、最後はウイスキーのハイボールを二杯飲んでしまう。

歌舞伎町は反日運動への報復としての反中分子警戒で警官パトロールが増強されている。

■四月某日 No.1285
高田渡死去に続き、黒沼克史死去の報に驚く。面識はまるでないが、ちょうど氏の少年犯罪を扱ったノンフィクションを読んだばかりだったので。

49歳とまだ若い。腎不全ということか。

京都入り。

授業。

夜、『ロスト・バビロン』のメンバーである卒業生たちと四条で飲む。

監獄酒場という変な飲み屋に連れて行かれる。婦人警官のコスプレのおねーさんに手錠をさせられ、監獄仕立ての座敷に案内されるのだが、手錠でつながれたおねーさんがそのまま一緒に飲んでくれるのかと思ったら、すぐ外された。無駄なパフォーマンスだ。

飲んでいる最中に猫男とかミイラ男とかも現れて廊下で暴れ、それを婦人警官おねーさんが撃ったりとか、つまらない。

森山も遅れてやってくる。森山は少年ころ大塚のSMマンションに住んでいたという。家主がマツウラサトルという名で、そうなってしまったの。おそるべしマツウラサトル。

みんなこれから劇場で森山をみかけたら、「よっ、SMマンション」って声をかけよう。

■四月某日 No.1286
午前の戯曲の授業。

先週のベケットの『なに どこ』に続いて今週は一転して『欲望という名の電車』。

パフォーマンスからメロドラマヘっていったところか。どっちもやるで。

午後の授業後。

祇園の歌舞練場で『都をどり』を見に行く。

開演まで時間があるので隣の建仁寺に赴き、双龍図、宗達の雷神などを見る。

『都をどり』、出し物は『雪月花古都映絵』。

来月の『鴨川をどり』も見ようっと。

帰京。

■四月某日 No.1287
ポール牧自殺の報。

それにしても伊丹十三もそうだったが、人間というものあまり高いところに住んでいるというのは精神衛生上よくないのでなかろうか。私は高層マンションでも一階か二階に住みたい。

鬱々とした気分の夜、高層階の部屋にて一人酒で酔っ払ったりしていると、死のリアリティがなくなり、ちょいと飛び降りてみっかなんてことがありそうに思える。

それにしても鬱病の人に「がんばれ」とはいえない。

子供のころ「やればできるじゃない」という母親に殺意を覚えたことがある。

西武線も小平で人身事故のせいで遅れる。

駅のベンチで隣のおばちゃん、「生きたくて仕方のない病人見舞うのに、自分で死ぬ人のせいで邪魔されるなんてねえ」、その呟きに現代を感じる。

執筆。

■四月某日 No.1288
兵庫で列車事故。

神保町で編集会議。

執筆。

『ハイド・アンド・シーク -暗闇のかくれんぼ-』を見る。

デニーロとダコタ・ファニングの対決が見ものだ。

まったくどうということない映画だが、この手のスリラーが好きで、どの手つきでやろうとしているのか見ている最中当てるのが楽しい。

定石通り、ラストはちゃんと、これで終わりではありませんよといった後味の悪いほのめかしがあって、こういうのも実にうれしいわけだ。

列車事故、死者増している。嗚呼。

■四月某日 No.1289
税理士と会談。今期の決算報告。

新宿のヨドバシで機器を注文し、パスタ食べて新幹線に乗る。

京都入り。なんだかばたばたとしつつホテル着。

■四月某日 No.1290
初夏の陽気。午前中、金福寺に寄って新緑のなかにいると芭蕉の「憂き我をさびしがらせよ閑古鳥」の句が思い出され、しみじみとしてしまい、授業前にこれはよくないと思う。

授業。

疲労感濃く、まっすぐホテルに戻って早々に大浴場に入り、電動マッサージを30分ほどやる。

出歩く元気なく、ごろごろとして夜また大浴場に浸かる。

■四月某日 No.1291
午前中の戯曲の授業。気候は昨日に続いてまるで初夏。

『欲望という名の電車』と『エンジェルス・イン・アメリカ』の比較。

次回はベケット、オールビー、ウィリアムズのなかのモノローグ比較、とけっこうおもしろいことやっているのに午前中の授業でしかもGW前とあってか出席率悪し。あたまにくる。もうほとんど落としてやる。なんかちょろちょろ一回だけ人の顔見に来ただけなんてふうなのもいるしよお。

おれが朝の九時からこんなにしゃべっていることなんて人生においてねえんだぞ、もっとありがたがれ。

それにしても書き物創作の授業は遅い時間で終わってからみんなでいっぱいやれるぐらいの時間帯が望ましい。

午後の実習は出席率実にいい。今のところはな。

劇のタイトル案、『2005年五月瓜生山の空は透き通った青だった』、『トラウマ学園GO!GO!』、『恋人はPTSD』などのなかから『トラウマ学園GO!GO!』に決まる。

そういうわけで授業が始まって『アタックNo.1』を見られなくなったが、猪野熊役の船越英一郎、傑作な。あの付け髭のアップが出るたびに大爆笑だし、いいよ。

今度実習の授業は私もああいう付け髭をつけて、びしびし「おまえはもう帰れ」とかやろうと思う。

帰京。

帰りの新幹線、禁煙席が満席というので喫煙席にしたのだが、東京に近くなるにつれて煙がもうもうとたちこめ頭が痛くなる。この時間は帰りの会社員が多く、さらに喫煙席というのは昨今、おれたちゃ嫌われ者の喫煙者よという開き直りに似た大胆さでウイスキーをがぶ飲みして騒ぐグループなどもあり、さながら無法地帯の様相を呈していて、まわりもどうせ同じ嫌われ者の喫煙者なんだからと鷹揚で、なかなかにおもしろい光景ではあるが、とにかく人の吐く煙というのは頭にくる。

■四月某日 No.1292
初夏の陽気。

尼崎のニュースを見るたびに涙が滲む。

残された者の無念。

昼夜と観劇の二本立て。

なにを見たかはいわないよーん。

■四月某日 No.1293
GW始まる。

GWに休むのは何年ぶりだろうか。

とはいうものの終日執筆。

夜、映像の卒業生村川の卒業制作ビデオ作品『迷と惑』を見る。

京都三条の名物男であったらしいホームレスを追うドキュメンタリーだがなかなかだ。撮られるほうも学生だからかまえることがなかったのが功を奏したのだろう、この男布教活動などをしているのだが、あきれるばかりのどうしようもなさというか脱力ぶりをカメラの前で露呈する。その点においてドキュメンタリーが成功している。

夜中、ひさびさにバッハの『パッション』を聞き、ウイスキーを飲む。

■五月一日

No.1294

近所で出たという天然温泉の新しい施設にいく。

湯に浸かるとどっと疲れが出てほとんどへろへろ。

そのまままるで使いものにならず。

■五月二日

No.1295

昨日に続いてほとんど使いものにならず、寝たり起きたりを繰り返しつつ、執筆をする。
■五月某日 No.1296
執筆。

夜、『バッド・エデュケーション』を見て深く心動かされる。

メロとフィルムノワールへの徹底した意識が愛を透視する。

ロシア料理を食べて帰る。

■五月某日 No.1297
国立西洋美術館のジョルジュ・ド・ラ・トゥール展に行く。

去年ルーヴルでお気に入りになった画家。

美術館の前に京成駅付近のエスエス商会をのぞき、時計、雑貨、大人のおもちゃとかを見る。この店、ごった煮でサイコーだ。

美術館館内は予想以上に混んでいるのでびっくり。

発見されている作品がもともと少ないので仕方がないが展示作品に模作が多いのが白ける。しかも模作は遠くからもすぐわかる。

常設展にも足を運ぶ。二十数年ぶりの松方コレクションだ。

やはりモネの絵は近くで見ると圧倒的なものを感じる。図版だとほんとつまらないが。

それと今回デュビュッフェとビュッフェが心に残った。

美術館はさすがに足が疲れる。よろよろと上野公園を散策し、『聚楽台』に向かうがここも混んでいて窓際のテーブル席は満席で桟敷に案内される。ここもまた三十数年ぶりだろうか。

閉店の噂を聞いていたのだが、活気にあふれていてその気配がない。GWだからなのだろうか、それにしても最近昭和レトロブームだが、ここはそのままそうなのだから今けっこう流行ると想像するのだが。

生ビール、カレーライス、ハンバーグスパゲッティにデンキブランを二杯やる。

よろよろと不忍池を歩く。池の夕景を呆然と見る。

畔では夜の骨董市が出ている。フクロウの置物を見つける。買わなかったが。

■五月某日 No.1298
ひさしぶりに油絵にとりかかる。

夜、近くの銭湯で菖蒲湯に入る。

■五月某日 No.1299
油絵を続ける。

一枚目にめどをつけ、二枚絵にかかる。

■五月某日 No.1300
絵。

『スパイダーマン2』を見る。1より全然おもしろい。

ジョン・カーペンターの『透明人間』を見て、透明人間の生活の利点と不便などについて考える。

それにしてもほんっと久々のGWで、このまま一生遊んで暮らしたい。

来週復帰できるのだろうかと心配だ。

学生というものは大体GW後、学校に出てこなくなるものなのではないだろうか。その気持ちが今回理解できてしまってやばい。

だらだらとしていたい。負けん気顔して、あるいは地球の問題を全部背負っている顔して必死に演劇をやっている人々がひたすら下品に見えて仕方がない。

■五月某日 No.1301
ベニサン・ピットで『A Number』を見る。

手塚、小林のK-1戦は見ごたえ十分だ。あと美術がいいが、戯曲自体はそうおもしろいものでもない。上映時間が短いのはいいことだ。無用に長いのが多いからね。終演後、前を歩いていたおばはんが、「休憩かと思ったら終わってたわよーん」とかいっているのが聞こえたが。

ピット内のバーでわいわいと飲み、さらに三國屋に移って飲む。行者ニンニクの天麩羅がおいしい。ここは蕎麦もちゃんとしてる。

■五月某日 No.1302
執筆。

よろよろとしつつ夜、新幹線に乗る。

イラクで襲撃された斉藤昭彦氏の弟さんの会見に心動かされる。

音信不通でいた兄が外人部隊に所属していて除隊後、イラクにいって今生死が不明とは、いかほどの驚きとショックだろうか。弟さんは表向き冷静に事実を受け止めている。この兄弟の過去と現在に興味を覚える。

ところでフランス外人部隊には30数名の日本人が所属しているとのことだ。斉藤さんは優秀な傭兵で、日本人が情けないのは、除隊志願の折り、つらいからやめたいと正直に言えばいいのに、田舎の父が病気でとか嘘をつくところだという。劇団のようだ。

傭兵というのは退役後年金もつかず老後はけっこう大変なので、斉藤さんは今回ふだんの倍以上の金をもらえるイラク警備についたのではというのがさる筋からの情報なのだが、本人に聞いてみないとわからない。

■五月某日 No.1303
授業。

『プレイド3』を見る。

主演のウェズリー・スナイプスは現在売春婦から子供認知の訴訟を起こされていて、そういうことを重ねて見るとおもしろさが倍増する、って倍増しないか。

新京極で鰻を食べる。

■五月某日 No.1304
雨で寒く、調子悪い。

授業後、会議。

夜、帰京。

■五月某日 No.1305
執筆。

夜、恵比寿でウディ・アレンの『さよなら、さよならハリウッド』を見る。

ひさしぶりになぜかアレンのコメディを見たくなったわけだ。

見ている最中はけっこう笑ったが、やはり映画全体に老いを感じる。オチもひどいよ。

見終えて酒寮さいきに行って、いさき刺し、生しらす、谷中しょうが、海老しんじょうなどで飲む。さらに歌舞伎町の蕎麦屋でもりと銚子一本頼むが、ほんっと歌舞伎町の蕎麦はまずい。

■五月某日

No.1306

東武動物公園にフクロウの取材のために赴く。

飼育係の青柳毅さんという私と同名の飼育係の方にシロフクロウ、ハリーを紹介してもらう。いろいろ生態を聞く。

他にネパールワシミミズクとメンフクロウのつがい。

メンフクロウのケージに近づき、じっと見つめているとつがいは警戒して怯え、羽ばたいてこっちにクソをしかける。危うくかかるところだった。

トビの飛ばしを実体験できる時間にあたり、左手にグローヴをはめてトビを腕に止め、飛ばすという絶好の機会を得る。猛禽を現実に自分の腕に乗せるというこの体験が欲しかったんだ。

その後、150年生きるというゾウガメと遊んだり、ホワイト・タイガーを見たりと、ひさしぶりに動物園を堪能。みんな、いいよ、東武動物公園!

ホワイト・タイガー、ジャガー、ピューマ、ライオンとネコ科が並ぶ檻は見応えがある。

夜、談志を聞く。

■五月某日

No.1307

休日。

ちりちりと油絵に手を入れる。

タケポン・トリビアを考えた。

「セザンヌの初期の油絵はキンタマ画法で描かれている」

へえへえへえへえへえへえの六へえぐらいもらえっかもよ、誰か送ってみい。

夜、ルビッチの『淑女超特急』を見る。

■五月某日 No.1308
あれからはっと気がついたのだが、先週のタケポン・トリビア、セザンヌの件は、現実にもう放映されたものではなかったろうか。

そういうわけで別のものを考えた。

「柄谷行人氏の本名は善夫である」

へえへえへえへへえへえへへえへえへえ。

それにしても幻のピアノマンなんて誰かのやらせに決まってるだろが。

そういうわけで中野の美容院にいってから平凡でラーメン食う。

結婚してから落ち着いたのだろうか山田山子には会わない。

執筆。

■五月某日 No.1309
なにもやる気がなく、新幹線に乗って京都入り。ホテル近くのキラク亭というところに入るがなかなかよかった。

夜、ニコラス・レイの『孤独な場所で』を見る。

■五月某日 No.1310
授業。

夜、千本中立売の居酒屋『神馬』にいって酒を飲み、肴をつまむ。

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