彷徨とは精神の自由を表す。

だが、そんなものが可能かどうかはわからない。

ただの散歩であってもかまわない。

目的のない散歩。

癇癪館は遊静舘に改名する。

癇癪は無駄である。

やめた。静かに遊ぶ。

そういった男である。

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■十二月某日 No.1161
休みにしようと思っていたところ、京都の学生から、早くこんかい、われ! と電話あり、新幹線で京都入り。

スタジオ入り、ワサワサ舞台ができつつある。疲労濃いのでホテル入り。

午後10時から、学生たちにはホテルのロビーに来てもらい、12時まで打ち合わせ。

まったくアルコールを口にしない。

■十二月某日 No.1162
午前中時間が空いたので、『血と骨』を見る。気迫に満ちている。よくぞここまで撮ったと思う。たけし演じる主人公を見ながら色んな男たちの顔を思い浮かべた。いろいろな意味合いにおいて簡単にはコメントできない映画だ。

それにしても『Aサインデイズ』でもそうだったが、監督は女をいたぶる男をかなりな頻度で描いているのではないか。何かがあるのだろう。

スタジオで10時まで場当たり。

まったくアルコールを口にしない。

ホテルに夜ひとりいると、なんかしみじみさみしいが、なかなか風情のあるさみしさでもある。

トイレ好きとしてはウオッシュレットがうれしい。肛門にお湯を命中させながら新聞読んだり本読んだり。

■十二月某日 No.1163
昼間、劇作家協会の新人賞候補作をじっくり読む。

場当たり。終了後、王将で学生数名と夕食。座敷席が使えず。これが使えないならここの王将の意味がねえんだよ。いつものように王将はまずくて実にいい。

■十二月某日

No.1164

快晴で暖かい。

元気で、昼間、大学前のゲーセン内のバッティングセンターで60球ひっかける。誰にも見られていなかったろうな。ついでにゾンビ撃退ゲームにまで手を染めてしまう。なにやってんだ、おれ。学生に見られなかったろうな。

使用する映像のチェック等々。

15時半、ゲネプロ。

終了後、大いにダメだし。

19時二回目のゲネプロ。

夜、シャンパンとワインを飲む。

零時からホテル、停電。検査のためとかで無論、前から聞かされていたことなのだが、ほんと停電に縁のある男だ。わたしって。

■十二月某日 No.1165
昼間『わらの心臓』本番。

無事終わる。みな、やはり固いがまあまあの出来。

夜、違うキャストで『わらの心臓』。なかなかおもしろい。

八角、森山両先生と飲みに行く。ぐだぐだ夜中まで飲んで、途中でマフラーをなくし、ホテルに着くとズボンのチャック全開で青ざめる。いつからあけっぱなしだったのだろうと煩悶しつつ寝る。

■十二月某日 No.1166
昨夜のマフラーは八角氏が持っていたと発覚。

今日も二公演。

終演後、新幹線で帰京。

■十二月某日 No.1167
昼間、悪友の結婚式に出て、スピーチで悪行を全部ばらす。新婦の親戚らしき席で数名床に落ちる。

しかしこいつもこいつでやはり肝が据わっていて、それを見てへらへら笑っている。

紀伊国屋ホールで劇作家協会の新人戯曲の公開審査。司会兼選考委員。

今年はこれと推せるものがなく、どう転ぶかと思っていたら、思ってもみなかったものが優秀作となった。ほんと、選考会というものは開けてみないとわからない。こんなふうに自分の何かも落とされているのだなと実感する。運だよ、運。

どっと疲れて昼間の悪人の結婚式二次会パーティへ。

ここでも司会だ。

誰が結婚したのかというと、山田山子だよ! 大工と結婚したのだ。大工の女房となったのだ。

■十二月某日 No.1168
終日執筆。ついに『クリオネ』決定稿脱稿。

自分でいうのもなんだが、異様なほどの集中力だ。

興奮状態で酔っ払う。

■十二月某日 No.1169
疲れがどっと出る。

サウナに行く。

『人間の約束』と『血を吸う薔薇』を見る。

酒を抜く。

■十二月某日 No.1170
夜、下北沢演劇祭の結団式に出席する。北沢タウンホール。スピーチなんぞする。ひさしぶりに渡辺えり子に会う。腹を見て「おめでた?」といった瞬間殴られると思ったが、これでも五キロやせたと解説していただく。

なんだかくたびれてよろよろと帰る。

ところでこの日乗はこちらが思いもよらない人も読んでいるようで、北の工作員がこれで私の行動を監視しているということだ。無駄だよ、ここには嘘もやまほど書いてあるから。

そういうわけで、大晦日は恒例の年越しライブを小平市民会館会議室Bでやるのでお問い合わせはティーファクトリーへ。ジュリーと安全地帯とあゆと森高千里を歌いまくる。

その後は例年通りハワイね。

遊静館近くでは16時半になると決まって、「赤とんぼ」がスピーカーから流されるのだが、これが妙にさみしくてしかたない。

「15でねえやは嫁にいき、おさとのたよりもたえはてた」って歌詞だっけ。

なんでこう日本の童謡ってさみしいんだろ、「しかられて」とかさ。

夜、サッカー、ドイツ・日本戦を見る。日本選手の動きは学生の場面転換のようにのろい。

■十二月某日

No.1171

吉田の『戒厳令』を公開当時以来、すなわち31年ぶりに見る。

脚本の別役実による北一輝像は明解だ。法華経を詠むマゾヒスト。三国連太郎は大芝居しすぎだな。

■十二月某日 No.1172
ところで『血と骨』の北野武はよかったな。大芝居でやりがちの役なのだが消去法の演技で通しきったんだな。

この演技の対極が五社英雄の映画の仲代達矢ね。

『戒厳令』の三国連太郎は堂々と演じすぎていて、台詞と乖離している。首謀者でないのだが、首謀者と疑われることをアイデンティティとしていて、しかしいったんそう思われると途端に怯えるというこの北一輝像は、例えばタモリが演じるのがふさわしい。

劇作家協会の戯曲セミナー特別講師のため三茶へ。二時間の講義。いろいろビデオを見せつつ。いい講義なんだからもっと人集まれよと思っていると、前期はまた大勢くるのだが大体この時期になってくると大学生と同じで、減ってくるのだという。それなら前期にやらせろよ。まったくいっつも俺はこういう役まわりだ。

しみじみ、じわじわと疲れる。

新宿で歩きながらドトールをドートゥーといっている人の話を聞いてびっくり。トドールは聞いたことあるけれど、ドートゥーとは恐れ入った。

サウナでテレビを見ていたら細木数子が出ていて年末にやるといいこと、大掃除、天井から掃除することって当たり前のことだろがっ。

■十二月某日 No.1173
休日。

ほんとひっさしぶりに『笑点』を見る。ほんっと今年こそ笑点カレンダーを購入しよう。

カレンダーといえば花園神社の熊手屋から毎年カレンダーが送られてきて、これが大相撲カレンダーで一度かけてみたのだが、なんか暑苦しくて仕方がない。相当のデブ専でないともたんぞ、これは。

■十二月某日 No.1174
『クリオネ』スタッフ全員集合。美術の島次郎さんとは以前から知り合いなのだが、仕事をするは初めてで実に楽しみ。

その後、稽古。いい感じ。いい予感。ルー氏も気合い十分。

ひさびさ『山利喜』で飲む。

■十二月某日 No.1175
昼間ずっと寝ている。

夜、帝劇に赴き、『SHIROH』を見る。休憩時間に昨日会っていた宮本さんと島さんがいるのでみんなでびっくり。プロデューサー細川氏ともひさしぶりに会う。少し話す。なんだかんだいってこの人もえらいね。

この日いろいろ事情があって深夜まで飲んでいたのだが、日付が越えて45歳になる。

べつに誕生日なんざ、どうでもいいと大声をあげていると、店の女将に誕生日ってのはよくここまで生きてこられたと運命に感謝する日なのだと諭される。その通りだと深く納得する。罰当たりなことをいったりしたり書いたりしてよく45年生きてこられたものだ。

■十二月某日 No.1176
朝の五時まで飲んで二日酔い。

忙しい時が過ぎ、こうして急に時間ができると世間に見捨てられたような感じがする。

掃除せにゃあかんな、そうじ。

カバンを開けると腕時計がある。昨日、店にいた酔っ払いからもらったのをすっかり忘れていた。

夜九時から『特命係長 只野仁』のスペシャルをやっているが、この時間からは見る気が起きない。

■十二月某日 No.1177
いっくらでも眠れる。

『華氏911』を見る。いまさらということで、すでにさんざいろいろな評価を聞いているわけだが、予想以上によくない出来なので驚いた。これなら『ボウリング・フォー・コロンパイン』のほうがまだよかった。人のコメントの切り貼りってのは危険で、ある一フレーズだけを取り上げると、その後の「しかし」を無視することになるし、微妙なニュアンスもあえて削除するという悪意が作動される。文章における引用でもよくやられることなのだが。まあ、おもしろければいいのだが、この映画はおもしろくない。

■十二月某日 No.1178
手塚さんのファンの人が私の当日乗を読んで、私のそれまでのイメージががしゃがしゃ音を立てて崩れたと書いていると聞いた。いいことだ。でもこれも仮の姿なんです。あんまり硬派の演劇人気取ってるとつまらないシンポとかやたら誘われて、ぼくも人がいいから出ちゃうのの防衛策のためにこうしてるんです。

まあ、その手のシンポもたまにはいいけれど、やたら便利に呼ばれ始めると嫌になります。

部屋の掃除とかして新宿、高田馬場界隈でわさわさ買い物。

ひさびさにJAZZのアルバム数枚買う。

アーチー・シェップとか。

それにしても年末ってみんないろいろ忙しくて誰もかまってくれない。普段忙しいののツケがまわってくるのが年末ですな。

イヴだが原稿書きだよ、原稿書き。まあバブル期の20歳代でもないんだから無理してでも誰か誘っていろんなことしなければ、なんて強迫観念はないわけだが。

深夜しみじみウイスキーを軽くやる。

■十二月某日 No.1179
わさわさ買い物。

いろいろな私的ニュース。

読売アンデパンがらみで赤瀬川原平を読み始めたところ、おもしろくてはまってしまい、『老人力』にまで手を出しているのだが、私、自然と老人力やってるわ。例えば私はいたるところで年中ため息ついて「くたびれた」を連発している。これはそうすることによって疲れを蒸発させているわけで、稽古場で楽屋で研究室で、ため息ついてはくたびれたとつぶやいて英気を養っているのだ。

さらに「がんばってください」とかいわれると、必ず「がんばらない」と答える。何ががんばれだ、誰ががんばるものか、大体がんばっていい結果など生まれたためしがない。

とにかくマイブーム、アカセガワ!

■十二月某日 No.1180
大掃除をやろうと決意して取り組みだしたところ、十数分で茫漠とした気分になり、癇癪を起こす。周囲の女中たち、書生らが驚いて逃げ出す態勢に入ったので間髪入れずに「逃げるな」という。

気を取り直して書斎、便所、風呂などをきれいにする。

■十二月某日 No.1181
出かけるとき駅の傍の八百屋が「奥さん、世界で一番安いリンゴ」といっているのを小耳に挟んでいたのを、帰宅時、その八百屋のオヤジがいるので「世界で一番安いリンゴくれ」といったところ、「かかか、堪忍してください」といって逃げてしまったのはどういうわけだろうか。この間に何か決定的な出来事がオヤジに振りかかったのだろうか、などと考えつつ、それにしてもリンゴリンゴと呟きつつ帰る。
■十二月某日 No.1182
それにしても今年はしっかり掃除をしたものだ。去年はしかとしていた窓拭きまでした。

『インサイダー』を見ていたら以前見て途中でやめたのを思い出した。

引き続き『マルホランド・ドライヴ』を見る。

ほんっとリンチ節だなあ。思わせぶりで中身なく、中身がないことには確信的であるというわけだ。くだらない。

■十二月某日 No.1183
雪ときたか。

森下で美術打ち合わせ。

これで今年の仕事は本当に終わり。

いろいろな意味で今年は更新と清算の年でもあったな。

■十二月某日 No.1184
スーザン・ソンタグ死去の報に驚く。まあでもやることやったよな。

今年は気合いを入れた大掃除であった。

年末恒例『タケポン年越しコンサート』は予想以上の問い合わせで会場の小平市民会館会議室Bに入りきれない数のお客さんが来場しそうだということで関係者と協議の上、今年は中止となってしまった。深くお詫びいたします。

そういうわけで熱海へ。

芸者の踊り、奴さんなどを堪能する。

■一月一日 No.1185
熱海。

母親のとめどのない他人への悪口を聞きつつ新年を迎える。まあ元気なんだからいいけどね、ため息だよ。

MOA美術館を十数年ぶりで行く。鈴木春信の肉筆浮世絵などを堪能する。

帰り親戚の家に寄って帰る。

■一月某日 No.1186
どうでもいいけど、自分の亭主女房のこと、パパだママだって呼ぶの嫌ね。

どうでもいいけど、波田陽区ってアイトーに似てるな。

どうでもいいけど、『星野仙一物語』っちゅうけど、生きてるんだろが、まだ。こんなのやられちゃうともう悪いことできないって感じね。

どうでもいいけど、細木の占いによれば、おれ今年大殺界だ。すごく幸福こいて外れたとかいってやりたい、どうでもいいけど。

■一月某日 No.1187
正月の合間、油絵10号を描き始める。

正月といえども昼酒はやらない。ほんっと昼酒って嫌いなんです。

『笑点』スペシャルを堪能する。おおぎりの優秀者に贈られる金色の座布団が欲しい。

■一月某日 No.1188
今年の抱負を勝手に語る。

舞台の演出は恐らく『クリオネ』と京都の大学で終わりだ。

新作は『クリオネ』一本ですので、全力注ぎます。

あとの予定は小説と映画と油絵だ。

三ない運動を始めたい。「おこらない」、「おごらない」、「どならない」だ。

今年は地味めでいくぞ。おこらない覚悟だから、私の悪口いうなら今年よ。

おっと、いけない、戯曲を書かなければ。これを忘れては困るよ、チミチミ。二本書くよ。

■一月某日 No.1189
油絵描く。

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』を見る。やっぱりスピルバーグってドラマが下手だな。

『マイノリティ・リポート』とかはいいんだが。

若手芸人のコントタイトルマッチを見るが、いまいちだな。

タケシです、イヴの日はひとりで焼き鳥食べてました。

タケシです、よく穴のあいた靴下を履いています。

タケシです、こん平のちゃんらーんをテレビの前で一緒にやっています。

■一月某日

No.1190

稽古が始まる。

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