彷徨とは精神の自由を表す。
だが、そんなものが可能かどうかはわからない。
ただの散歩であってもかまわない。
目的のない散歩。
癇癪館は遊静舘に改名する。
癇癪は無駄である。
やめた。静かに遊ぶ。
そういった男である。

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■十一月十四日

No.821

プレビュー初日。

まずまずの出来。事故なく終わる。ほっとする。

キャストもスタッフも緊張していた。それにしても大の大人の大勢が同じ時間、場所でいっせいに緊張しているというこの舞台の光景はいまさらながら感動的だと感じる。

終演後、乾杯。すきっ腹にビール三缶がこたえる。

■十一月十五日 No.822
二日前。舞台は昨日より落ち着いている。

終演後、福士、長谷川らと楽屋呑みを長々とし、早く出ろと制作部に追い出される。

■十一月十六日 No.823
マチネ。

舞台がのってきた。これでほぼ安心。

このプレビューの三日間、客席は満席だったが、実に老若男女、幅広い年齢層で埋められた客席だった。こんな客席も東京の劇場では珍しかろう。

手塚さんから吉田が出ているプライドのビデオを借りる。

終演後、三茶の飲み屋でいっぱいやっていると、隣の客が職業は医者だと語り、「最近の患者はみのもんたの言うことしかきかない。私とみのもんたどっちを信用するんですかと聞くと、みのもんたと答える」

とぼやくわぼやくわ。

■十一月十七日 No.824
今日が正式の初日。でももうやっちゃってるって気分。プレビューって結局三日間限定バーゲンセール?

そういうわけで初日の幕が開く。

無事終わる。

野村萬斎氏とアフタートーク。氏とはすでに記者会見などでも同席したことがあるが、人と自分がしゃべるタイミングの取り方が絶妙で、スマートだ。実にしゃべりやすい。

ロビーで乾杯。シャンパンがなかなか開かない。

すきっ腹でよろよろ帰る。

■十一月十八日

No.825

終演後、ピーターとサラそしてバリ島の通訳だったノブと飲む。
■十一月十九日 No.826
昼間、『死ぬまでにしたい10のこと』を見る。アルモドバルがプロデューサーをつとめているので期待したが、まるでつまらない。テレビドラマ。

終演後、麻実さんとのトーク。麻実さんから村上開新堂のクッキーの詰め合わせをいただく。

帰って早速食べる。おいしい。やめられなくなり、シングルモルトやりながらぼりぼり食べてしまう。

■十一月二十日 No.827
休演日。

藤原さんと『バラード』の打ち合わせ。

その後、花園神社、酉の市で熊手を買う。

ボジョレ・ヌーボー、ビラージュとトュールダルジャンの二本買う。

ビラージュのほうを飲む。おいしいが、ヌーボーは所詮ヌーボーだ。

京都公演の後、シンポジウムをやるといわれて愕然。ああ、もう最近シンポなど出たくない。特に自作の後のシンポなんか。代わりにチンポ出すので許していただきたい。でも私も大学の教員だからね、やれっていわれればやりますけど。最近、とみにバカ面した演劇人でいたい。

手塚さんの影響のせいか、最近ケラリーノさんのところの役者に興味を覚える。犬山さんは前から好きなんだけれど。なにがいいって名前がいい。

■十一月某日

No.828

上演後、『KOMACHI』チームとのトークショー。笠井さん、司会の松井さんの質問を静かに無視する。

三回のトークショーが終わり、私の仕事は実質終わったわけだ。ほっとする。

アフタートークではみんなさすがにエンタテイナーだった。私は基本的にはシンポジウムもエンタテイナーとして臨む。だからたいてい研究者とは噛み合わない。平気で「よくわかりませーん」といってしまう。それがそれで新鮮らしいのだが。

■十一月某日 No.829
劇場に向かう。快調である。
■十一月某日 No.830
劇場に行く。

それにしてもシアタートラムは用のなくなった演出家の居場所があってうれしい。開演前、後にロビーにうろうろなどしていたくない。客席で見終わった後は脱兎のごとく地下のスタッフルームに向かう。まっ、今回は興行主ではないからということもあるが。一介の雇われ演出家というのは楽でいい。

■十一月某日 No.831
昼間、文学座アトリエの稽古に顔を出す。

今日は笠井さんの誕生日。氏は還暦を迎えた。終演後の楽屋前にローソクの点ったケーキを持つ制作部が待機する。衣装部が密かに縫い上げた赤いドレスが渡され、私も個人的に清水焼きの赤いマグカップを贈らせていただく。

その後、中日の打ち上げ。日程の都合上、今日の早い打ち上げとなった。いろいろしゃべる。長谷川くんと蟹江くんが、「川村さんはひとりっこかすえっ子でしょう」と聞く。なんでだろう、マイペース野郎という意味か。まあ、どうでもいいけど、俺は九人兄弟の長男だ、というのは大嘘。

俳優らは明日マチネがあるので早めに退散。えらいっ!

■十一月某日 No.832
文学座アトリエヘ。

夜京都に入る。

■十一月某日 No.833
授業。今年の学生は役者が揃っている。期待がもてる。
■十一月某日 No.834
授業。

帰京。

夜、『独身3!!』を見る。ほんっとくだらなくていい。山本がとみに快調だ。

■十一月某日 No.835
文学座アトリエへ。

夕刻、トラムへ。

いよいよ明日千秋楽。終演後、楽屋で手塚氏、福士氏とビールを飲む。

■十一月某日 No.836
千秋楽。カーテンコールに出る。転びそうになる。

ほぼ男たちだけで飲む。笠井さんのおごりだという。

いろいろみんなで勝手なことを言い合って飲む。

いつのまにか私べろべろになる。散会間際の記憶は欠落している。

■十二月一日 No.837
新宿で『キル・ビル』を見る。まあ、アクション映画おたくの妄想の映像化だわ。いかにも元レンタルビデオ店員が好き放題に撮ったといった感じの映画だ。刃物の殺し場面はちと生理的につらい。しかしサントラ買って帰る。貴重な曲が満載だ。

パスタをばかばか食べて帰る。

師走か。一年経つの早いねえと誰もがいいそうなことをつぶやく。

■十二月二日 No.838
文学座アトリエへ。
■十二月三日

No.839

アトリエへ。

夜、京都入り。

ところでヤフーオークションでティーファクトリーの社員カワムラユカと語り、詐欺を働いている輩がいることが発覚。こちらに直接の被害はないが、気分悪い。みなさん、ネットオークションにはご注意あそばせ。犯人は勤め先にティーファクトリーの住所と電話番号を使用していたということだ。携帯に電話するとすごくきちんとした応対の若い子が出るのだという。多分背後にはプロがいるな。わたしらオークションなんざしないからね、絶対仕事先まで電話して確認したほうがいいですよ。カワムラユカには気をつけろ!

■十二月四日 No.840
授業。

四条通りでお買い物。

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