彷徨とは精神の自由を表す。
だが、そんなものが可能かどうかはわからない。
ただの散歩であってもかまわない。
目的のない散歩。
癇癪館は遊静舘に改名する。
癇癪は無駄である。
やめた。静かに遊ぶ。
そういった男である。

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『秋のドイツ・ビーレフェルト編』

 

■九月十六日 No.768
10時に起きて朝食。

正午頃、劇場へ。スタッフのシアター・ラボのスタッフワークがやたら評判いい。ハンブルグのカンプナーゲルと比べてのことだ。まあカンプナーゲルは結局劇団、劇場づきのスタッフではないからね。それと妙にプライドが高いのと、なんか今回カンプナーゲルのスタッフ内がどうもぎくしゃくしている感じがするのはただの思い過ごしか。ドイツ人のスタッフたちがばらばらの感じがするのだ。

ぶらぶら歩くと小さな街なので同じように散策している役者達全員と会ってしまった。

本屋でロミー・シュナイダーの来年のカレンダーを買う。

当地に学生の企業研修のために来ておられる独日協会の橋本先生がスタッフ間の通訳を買って出てくれている。

17時、ラジオの取材、出演。橋本先生の通訳で。

それを終えて橋本先生と今の学生達の無礼さ、非礼さについて語り合う。

ホテルでボクシングを見ながら、ビール、ワインなどを飲む。

ビーレフェルトの路面電車で轢死する夢を見る。

■九月十七日 No.769
11時、シアター・ラボの代表ジギーと会談。

その後、主要メンバーの俳優ミハエルに市庁舎のなかに展示されたシアター・ラボの舞台写真のギャラリー案内される。この劇団は公立ではないが、少しの州からの助成を受けている。それにしても20年という私らとほぼ同じキャリアで劇場を持ち、今回のような国際演劇祭を開くのは立派だ。

15時から稽古。

20時、開演。満席。拍手鳴りやまず、足踏みが響き渡る。

私は客席の最後列でこのすさまじい反響に呆然としていた。

ハンブルグの客席とは明らかに雰囲気が違う。ハンブルグにどこか知的という名の冷たさを感じたのはカンプナーゲルという場のせいもあるのだろう。

客席の雰囲気の違いについてミハエルに語ると、「だってハンブルグはみんなお金持ちでクールぶってるだろうからね」ということだった。

スタッフはすぐにバラシである。

劇場ロビーでシャンパンで乾杯。そのまま1時ごろまで乾杯乾杯。

明日はもうハレに向かう。

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