THE LOST BABYLON in ADELAIDE
アデレード滞在記:遠藤 香織

その1

遠藤香織

1999年より第三エロチカに所属。「ハムレットクローン」女子高生役、「弱法師」高安夫人役など出演するも、自他共に認めるマイペースぶりにより、集団を離れる。その前に所属していた唐組も同様の理由で退団のもよう。現在は旅行代理店の添乗員を本職としつつ、時々舞台に思いを馳せる日々。

2001年東京でのワークショップの際、演出のラッセル・フュースターの目にとまり、以降「ロスト・バビロン」プロジェクトメンバーとして参加。今回アデレード公演では、ラッセル宅にホームステイ。「少女」役と、襲撃者(アタッカー)役にて出演。

Wake up Endo. Good morning!

遠くから聞こえてくる声に、ボーと時計を見る。

大慌てで飛び起きた。そうだ、昨日アデレードに到着したんだった。洗面所らしき水場にダッシュ! 洗顔。部屋で“化けて”いると「Endo!」というラッセルの声。キッチンに行くと「カフェ・オレどうぞ」って……、それどころじゃないよー。時間はいいのかぁ? バタバタあせって滑り込み準備完了。なつかしのラッセル号に乗り込む。そうだ、昨日到着してから休む暇なく一日ラッセルと行動をともにしたので、帰ってきたら疲れきって寝てしまったんだ……。

とにかく始まりました、THE LOST BABYLON in ADELAIDE

車の中から稽古場まで、流れいく景色を眺めながら、昨日の一日をボンヤリ思い出していた。

到着後、スタジオを訪れ、初めて舞台に立った。舞台裏の控え室にはすでに小道具が準備されていた。舞台はちょうどセッティングの真っ最中。全体がブラック一色で、シンプルだけど、グッと迫ってくる感じ。テンションアップ!

いつも、初めて稽古場に立つ瞬間、セットもなくお客様もいない舞台に第一歩を踏みしめる瞬間の、何とも言えない心地よさと、緊張感と静かな高揚感みたいな。うーん、神社とかお寺の木立に囲まれた、静かな境内の真中に立ったときの包まれているような感覚……、に似てるのかな。ただ、私の大好きな空間と時間とこの感覚に、まためぐり会えたことの喜びで体中がみたされ、ここにいま立てたことに心から感謝。

明日からが楽しみ!

ラッセルと再会を喜び会い、その日は街でディナー。飲めない酒を飲んでる記念に1枚。もちろん哀藤さんとラッセルは、毎日お茶かと思うくらい飲んでたけどね。いつも「りんごジュース・グァバジュース」の私もときどきはがんばってみたけど、とてもとても。

そういえば、稽古の間には、いつもティータイムがあって、学内の喫茶ルームでお茶するの。私がアデレードで一番飲んだのは、間違いなくカフェ・ラテ。

最初の何日かは、稽古の合間くらい英語から解放されたい気分だったので、みんなとのリラックスタイムは、私にとっては稽古よりハードタイムだった。哀藤さんは、ティータイムにはいないことが多くて、一人で奮闘。女性出演者がよく誘ってくれたりして、こんな時間も大切だったかな。情報やアイデアを吸収する場でもあって。

街中が盛り上がっていて、至るところにフラッグが上がっている。あちこちにフリンジ事務所が設けられていて、私と哀藤さんも稽古の合間に訪ねてみた。思わず「ロスト・バビロン」のチラシを探して、目立つようにっと。あら、すっかり一員だわ。こんなに街中が盛り上がる演劇祭なんて夢みたいだ。

フラッと入ったお店で、店員さんにチラシを渡して、「よかったら見に来てよ。」って。皆、あたり前みたいに受け取る。だって、アデレードの祭りだもの知らない人はいないよって雰囲気が羨ましいなぁ。もちろん、スタッフ達はいろいろ奮闘している。

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