第四回

5月8日(水)

だいぶ深いところに入ってきた、そんな印象を受ける稽古場。
役者同士が意見やアイデアを出し合い、ぶつけ合い。

違うフィールドから集まった、それも思いっきり個性的な人々の
ぶつかり合いは、迫力があるなー。さすがだなー。

「ガンバレ、エロチカ代表、笠木!」とココロの中でエールを送る。→

見ているだけでもおもしろいけど、見てるだけじゃつまんないよー
とココロの中で叫びつつ。


   

■■ スペシャルインタビュー ■■

              伊藤克さんの巻 

 
伊藤 克

俳優座付属養成所7期を経て'58年より東京演劇アンサンブル所属。看板俳優として活躍、劇団代表作に「かもめ」ソ−リン役「コーカサスの白墨の輪」アツダク役「幻燈辻馬車」箱丁の己之吉役「肝っ玉おっ母とその子供たち」料理人役「オット−と呼ばれる日本人」林役等。「ガリレイの生涯」ガリレオ・ガリレイ役は'99年までつとめた。他同人会+現代「椎名麟三没後25周年記念公演/酔っぱらいマルメラードフ」マルメラードフ役、ひとり芝居「野の涯」等、今も若い人たちの中にあって舞台を引っ張る大黒柱である。
   
吉村 お疲れさまでした。稽古も半ばまで来ましたが、今までのご感想などを
伊藤 最初に川村さんにお目にかかって、お話しを伺って、その時、台本はまだだったんですけど、
あっ、そうとう面白そうだな、と思って台本を心待ちにしていて・・・
出来上がりました、読みました。そうとう面白いな、と。でもかなり難しいぞ、と。

ぼくもご多分に漏れず映画少年でしてね、この本を読んだときに思ったのは、
ジャン・コクトーの「オルフェ」って映画があるでしょ?鏡が水面のようにやわらかく揺れて、
人物が向こうの世界に通り抜けていく。夢と現実、夢とうつつ、人間はそのはざまで生きて
いるんだけど、そういう主張がこの本にも出ていて、面白いなーと思いましたね。

俳優の仕事もそうですね。夢とうつつの間で、いかに夢の、架空の世界の中で観客に実感、
リアリティーを感じてもらうかというね。作り物なんだけど、それが嘘っぽかったり、安手のもの
ではダメで、一生懸命生きようとしている人物、この芝居で言うと、死に場所を探そう、
死に方を探そう、という人物ですけど、その人達がそれぞれの主観の、つまり映画の世界に
入ってゆく、それが現実のぼくらの生活とか日常とオーバーラップしていく様が出てくると
面白くなるな、というのが今までのところの感想です。

吉村 共演の方々は皆初めてですか?
伊藤 ええ、初めてなんですけどね。この難しい、どこからが夢でどこからが現実かわからない
「川村ワールド」をたゆたっている、皆さん、そんなふうに見えてね。
ぼくも早くそうなりたいなあ、と思ってるんですよ。(笑)
  (後記)
「これからの稽古でもまだまだ新しい発見がありますよ」
目を輝かせておっしゃる伊藤さんのお姿に、すっかり
魅了されました。赤いジャケット、とても良くお似合いでしたよ。

戻る  第五回

©2002,Tfactory Inc. All Rights Reserved.