川村毅今年度唯一の新作戯曲公演!!

『クリオネ』 作・演出/川村 毅

東京公演 2005.2.3-13 ザ・スズナリ 第15回下北沢演劇祭参加

大阪公演 2005.2.18-20 精華小劇場 精華演劇祭オープニング2

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クリオネ稽古場レポート1

時枝正俊

『クリオネ』

ただ今、好調稽古中!

という看板をしょって稽古場のある森下の町を闊歩したい衝動に駆られる程、『クリオネ』の稽古場は良い感じであふれている。

手塚とおる、宮本裕子、外村史郎、笠木誠、伊澤勉、そしてルー大柴と、多彩で異色なキャスティングが織り成すオトナのためのエンターテイメント演劇は、稽古場という熱を帯びながら着実に熟成しはじめている。日々私は、稽古場で、その「好感触」をひしひしと感じている。

そんな『クリオネ』の稽古場レポートの今回はイントロダクション。

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二幕目がある

昨年のワーク・イン・プログレス公演『クリオネ 第一幕・第一稿』から同役(真城役)を演じている文学座の外村史郎さん。彼に、前回の公演からの大きな違いを尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「二幕目がある事だね」

確かに。大きな違いだ。二幕目とは、もちろん一幕目の続き。前回の公演を観て、続きのストーリが気になって眠れない夜を悶々と過ごしている貴方に朗報だ。今回の公演で二幕目が見られる。

では何故、最初が一幕だけだったのか。何故『クリオネ』が、こういった特異な制作過程を経てここまできたのか。稽古場レポートからちょっと脱線。

川村氏によると、そもそも日本の現代演劇は、ある種の「創作環境の貧しさ」があったそうだ。本番初日直前に脱稿。そして、一度上演したらおしまい。そんな上演が普通にまかり通ってしまう事態があった。しかし、今回の『クリオネ』は、ワーク・イン・プログレス、すなわち途中報告として第一幕の第一稿を演劇環境の違う様々な俳優が演じ、そこから今回の本公演へ結びつけようという考えであった。チラシの裏にあったのは、川村氏のこんな言葉。

「クリオネ 第一幕・第一稿」とはその作り方をやろうという試みであり、上演です。文字通り、一幕、そして私は常々随分と推敲の回数が多いのですが、あえて初稿を披露してしまおうということです。それで様々なリアクションを得て、二月への参考にしたいと思っています。リーディング、ポスト・ショウ・ディスカッションが東京に定着したように、このような新作戯曲を上演する上での手続き、過程が根づけば戯曲の可能性も広がるのではないかと思う次第です。

つまり、実際、俳優が演じる台詞の「音」を聞いたうえで、川村氏が推敲を重ねた作品が今回の本公演である。川村氏自ら「贅沢な体験」と語っているように、こんなじっくり時間をかけて丁寧につくられる演劇を私は見た事がない。

「はっきり言って別作品」

これは、またまた前回公演と同役(安西役)を演じている笠木誠さんの言葉。

「前は賑やかに何チームとか何パターンとか、そういうワーク・イン・プログレスの良さがあったんだけど、この作品はキャスティングされてというものだし、手塚さんとか宮本さんとかルーさんとか新たに参加する役者さんがいる。役者が変われば、もうそれだけで別物の芝居になる」

実際、前回と同じ役を演じているにも関わらず、前出の外村さん、笠木さん、そして伊澤さんの前回公演参加組の演技は、また別の新しい空気を放っている。「ワーク・イン・プログレスを経てというよりは、また新しい作品に取り組んでいる感じがする」と語る笠木さん。これもまた役者特有の意識だと理解し、とても興味深い。

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与えられた役割が全体を考える事

「今回、僕が演じる男役は、登場は少ないかもしれないんだけど、その短い登場の中でインパクトを残せるかという事が重要になってくる」

そう、伊澤勉さん演じる「男」は、登場シーンが少ないとはいえ、物語に深みを与える。「人を殺めて十五年間、刑務所で服役した男」は、実際、川村氏が会った事のある元服役囚の話に基づいている。それ故、男の不気味な存在感は、ノンフィクションとして演じる以上の困難さがありそうだ。しかし「与えられた役割が全体を考える事につながる」と語る伊澤さんの言葉は、演技に対しての真摯な姿勢をうかがわせる。一見、いい人そうな伊澤さんから、どういった「男」が飛び出すのか。今ここで書いてしまうのは、もったいない。観てのお楽しみというわけだ。

キーワードは「夜」

『クリオネ』の基になっているのは、小説『夜』。集英社の「すばる」の二〇〇四年五月号に掲載されていた川村氏の作品だ。

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『クリオネ』に漂う「夜」という名の闇に閉ざされた世界。そこで繰り広げられる人間の葛藤は、痛々しくも切ない。読んでから観るか、観たあと読むか。この小説に出会う事で、『クリオネ』の世界がより濃いものになるのは間違いないだろう。

そしてこの作品は「神なき国の夜」というシリーズの第一弾となる。

現在、稽古進行中!

詳細は追って、レポートで報告します。

手塚とおるさん、宮本裕子さん、ルー大柴さんのインタビューも随時掲載予定。

このティーファクトリーのHPをチェックして、川村毅今年度唯一の新作公演『クリオネ』を観に劇場へと足を運んでください。

クリオネ公演情報

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